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なぜ飲食店は3年で閉店するのか

  • 3月24日
  • 読了時間: 4分

続く店と終わる店、その分かれ道

「飲食店は3年で潰れる」とよく言われます。少し乱暴な表現ではありますが、実際に現場で物件を見ていると、オープンから数年で入れ替わるテナントは少なくありません。

開業時はどのお店も意気込みがあり、内装にもこだわり、メニューも工夫されています。それでも、なぜ続かないのでしょうか。特別にまずいわけでも、サービスが悪いわけでもないのに、気づけば閉店している。そんなお店を何度も見てきました。

この記事では、飲食店が3年で閉店してしまう背景を、現場の感覚も交えながら整理してみます。


飲食街

最初の1年は「勢い」で乗り切れてしまう

開業してからしばらくは、いわゆる“ご祝儀期間”があります。知人や友人が来てくれたり、オープンしたばかりという理由で興味を持ってもらえたりするため、ある程度の売上は立ちやすいです。

この時期は、多少オペレーションが荒くても回ってしまいますし、原価や人件費の管理も甘くなりがちです。「なんとかなる」という感覚で進んでしまうことも多いでしょう。

ただ、この勢いは長くは続きません。1年を過ぎたあたりから、新規のお客様は減り、リピーターがどれだけ付いているかが問われ始めます。このタイミングで、初めて“本当の実力”が見えてきます。


固定費の重さに気づくのが遅い

飲食店経営で一番じわじわ効いてくるのが固定費です。家賃、人件費、水道光熱費などは、売上に関係なく毎月発生します。

特に駅前や人気エリアで出店した場合、家賃はかなりの割合を占めます。開業前は「この立地なら売れるはず」と考えて契約するのですが、実際に営業してみると、想定通りの売上が続くとは限りません。

売上が少し落ちただけでも、固定費の重さが一気に経営を圧迫します。最初は利益が出ていたとしても、徐々に余裕がなくなり、気づいたときには立て直しが難しくなっていることもあります。


リピーターが増えない理由

飲食店が長く続くかどうかは、リピーターの数に大きく左右されます。新規のお客様だけで売上を維持し続けるのは、現実的にはかなり難しいです。

では、なぜリピーターが増えないのでしょうか。

ひとつは、「また来る理由」が弱いことです。料理が普通に美味しい、雰囲気も悪くない。こういったお店は一度は来てもらえますが、“もう一度行こう”という決め手に欠けることがあります。

もうひとつは、ターゲットが曖昧なケースです。誰に向けた店なのかがはっきりしていないと、結果として誰にも強く刺さらない店になってしまいます。


飲食店

競合との距離が近すぎる

人気エリアに出店すると、当然ながら競合も多くなります。似たような価格帯、似たような業態のお店が並んでいると、お客様はその日の気分で店を選びます。

最初は新店ということで選ばれても、時間が経つにつれて他店との差が出てきます。価格で勝負すれば利益が削られ、サービスで勝負すれば人件費が増える。どこかで無理が出てきます。

競合が多いエリアで戦う場合は、「なぜこの店を選ぶのか」という理由を明確に持っていないと、徐々に埋もれてしまいます。


物件との相性が合っていない

見落とされがちですが、物件との相性も大きな要因です。

例えば、導線が悪くて入りにくい、看板が目立たない、周辺の客層と業態が合っていないなど、立地の細かなズレが積み重なると集客に影響が出ます。

また、内装にお金をかけすぎてしまい、回収に時間がかかるケースもあります。見た目は良くても、経営的に負担が大きければ長く続けるのは難しくなります。

物件選びの段階で、「なんとなく良さそう」で決めてしまうと、後から修正が効かない部分で苦労することになります。


3年目に訪れる「判断のタイミング」

飲食店が3年前後で閉店する理由のひとつに、「続けるか、やめるか」の判断がこの時期に集中することもあります。

開業から数年経つと、売上の傾向や課題がある程度見えてきます。このまま続けて伸びるのか、それとも厳しいのか。経営者として冷静に判断しなければならないタイミングです。

無理をして続けるよりも、早めに撤退して次に進むという選択をする人もいます。その結果として、「3年で閉店」という形が多く見えるのかもしれません。


まとめ

続く店は「最初から全部を決めていない」

飲食店が3年で閉店してしまう背景には、特別な一つの理由があるわけではありません。固定費、立地、競合、リピーター、どれもが少しずつ影響し合っています。

ただ、長く続いているお店を見ていると、共通しているのは「最初から完璧を目指していない」という点です。やりながら調整し、少しずつお店を育てていく。その柔軟さが、結果的に長く続く理由になっています。

開業はスタートに過ぎません。物件選びも、立地も、すべてはその後の運営の中で活かしていくものです。3年続くかどうかは、最初の判断だけでなく、その後の積み重ねで決まっていくのだと思います。

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